平成23年3月に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故により、日本の大規模集中型の電力システムが災害に対する脆弱性を浮き彫りする事となり、その後、電力の化石燃料への依存度が高まる中で、より環境にも配慮した、低炭素かつ自立・分散型エネルギーシステムの構築が求められています。
廃棄物再生資源化プラント WTE/Maax™ による発電は、熱源として燃焼を伴うという点で火力発電と同じ原理ですが、焼却熱を利用してボイラーで蒸気をつくり、その蒸気でタービンを回して発電するシステムにより、非常に効率的に電力を生産することが可能となります。また、そもそもCO2を発生する燃焼量を低く抑えることができるため、これまでの火力発電方式よりはるかにCO2の排出を減らすことができるようになり、環境面にも貢献できる優れたソリューションと言えます。
さらに、このプラントは高効率な燃焼を必要としないシステムのため、化石燃料などの従来燃料に頼る必要がないだけでなく、いわゆるゴミとして処理が必要な廃棄物などを燃料として有効に活用することができます。これにより、ゴミ処理に課題を抱えている自治体などへのソリューションとして活用が期待されているほか、発電事業体としても安定した燃料の供給リソースが整えられるなど、多くのメリットを提供することが可能です。
プラントで処理できる廃棄物は、紙くず、木くず、繊維くず・動物系固形不要物(食肉の骨など)・動植物性残渣(生ごみ)・ペット動物などのふん尿や死体などの一般廃棄物。
燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・ガラス、コンクリート、陶磁器くず・鋼さい・がれき類・ばいじん・紙くず・木くず・繊維くず・動物系固形不要物(家畜の解体等により生ずる骨等)・動植物性残渣(事業系生ごみ)・牛、馬、豚、鶏、ウサギ等及び毛皮獣等のふん尿や死体など特定の事業で排出する産業廃棄物。
また、厳密には上記に含まれるし尿や汚泥などの液体廃棄物や地震や津波、台風などによる災害ごみなど様々な廃棄物をまとめて、プラント内の一時保管所に集積します。
廃棄物の貯蔵量は約600トン、一般的なケースで3日分のごみを保管しておくことができます。
廃棄物の処理方法は燃焼方式でなく、乾式熱分解によって無酸素状態になった反応釜の中で、高温の水蒸気による熱分解によって処理されます。
酸素と炭素分の酸化反応である燃焼方式では、煙や煤、ダイオキシン類等、炎も発生し、火災や爆発などの危険性もあり、燃焼後には大量の灰が残ります。
それに対し、熱分解処理では無酸素で加熱することにより、煙、煤、ダイオキシン類、炎も発生せず、灰も残らず、目的別に温度調節も可能であり、極めて安全に処理できることが大きな違いです。
廃棄物処理過程で、ごみから燃料や資源を回収して、再利用できるように再生資源化します。
無酸素状態での熱分解処理によって、廃棄物は固形物の炭(炭化物)と揮発成分、分解生成物等様々な成分の合成ガスとなり、金属類やガラス類は分解されず還元状態で排出されます。
また、排出された合成ガスは冷却するとオイル(油分)になり、たとえば、プラスチック類からはエネルギー燃料となる重油や軽油が生成されます。
これらの回収物を精製することでリサイクル活用できるように資源化します。
回収された石油類、炭化物はプラント内の発電設備に送られ、燃料としてボイラー発電、エンジン発電により電力を産生します。
Naanovo社のWTE/Maaxの発電システムは、熱エネルギーを電力に変換する発電効率が通常25%~35%の廃棄物処理発電システムとしては破格の40~50%を電気エネルギーに変換可能な世界で最も費用対効果が高く、エネルギー効率の良い発電モジュールを備えています。
実質1時間あたり7MWの電力を産生できる能力を持ち、例えば平均的な4人家族であれば(月間消費電力、約0.4mWh強)、1時間で17か月分の電力を創り出すことができるシステムと言えます。